社長のしごと目」カテゴリーアーカイブ

食べさせられたラーメン

最近、泉区運転免許センター近くにオープンした県外本拠地チェーンの某ラーメン店に行ってみました。
席につくとアンケート用紙が置いてあったので手に取りました。なかなか珍しいアンケートです。「料理の温度はどうでしたか」はありそうですが「接客の心は伝わりましたか」という質問項目は初めて見た。しかもアンケートに手書きで番号が振ってあり、どうやらテーブル毎に番号が決まっているみたい。アンケートの設問から推察するとおそらくテーブル単位で担当するスタッフも決まっているのかも。すごい徹底ぶり。
家に帰ってからさっそくこのチェーン店を運営する会社のサイトをチェックしてみると、予想どおり様々な店舗管理システムが布かれていることがわかりました。(こんなことお客様向けにはHPで誇らなくてもいいような気がするけど)
チェーン全店平均の年商が1億2千万ということですから、日販平均30万以上をキープできる力があることになります(んー、ホントだろうか…)。ラーメン店にしてはかなり強い部類です。

それなりに美味しいラーメンだったし接客も素晴らしかったのですが、店舗の中に見えるいろいろなオペレーションの意図や経営戦略がわかってきたら、なんだか、経営を伸ばすためのシステムに固められた箱の中で「ラーメン」を食べさせられたのかぁ、みたいな気持ちになってしまい心が冷めました。
小さい店の無愛想で職人気質の店主がつくるラーメンをワクワクして待ち、カウンターですすり食べる。そんなラーメンを食べ直したくなってしまった。

経営を大きくするのは偉いかもしれないけど、外食産業のチェーン化というのは、こういう方法じゃないと大きくなれないものなのでしょうか。なんだか複雑な気持ちになってしまった食事でした。人間の能力がマニュアルを超えられないのも問題のひとつなんだろうなぁ。

データって大切なんです

yahoo_google.jpg

先日あるお客様と話していたら、『ホームページを検索エンジンに登録したいのだが、「Yahoo」と「Google」ではどちらが重要なのか』という質問を受けました。この質問ってけっこう受けることがあります。「ブランド力から言えばやはりYahooだろう」とか「Googleの方がたくさんの結果を出力するので人気があるはずだ」とか、周辺から得てきた情報や知識を「パワープランズではどう考えているのか」とぶつけているようです。

「Yahoo」と「Google」では、検索エンジンとしてのサイト取り扱いコンセプトがそもそも違うので、すべてにおいて同じテーブルには乗せにくいものの、とあるSEO対策専門会社による調査事実のひとつはこうです。

国内のインターネットユーザーにもっとも使われている検索エンジンは、Google(69%)、Yahoo(68%)、Goo(33%)、インフォシーク(23%)、というよう状況(複数回答・実際のWEBトラフィック分析による)。また、実際のユーザーが、もっとも的確な検索結果を出すエンジンとして挙げているのは、Google(61%)、Yahoo(38%)、Goo(15%)、という実態。

したがって、答えは「どちらも同レベルで重要」ということになります。

私の答えが、もし事実に基づくことなく、一方だけが重要だと答え、それを選択させたら、インターネットユーザーの約半分を獲得できないことになるわけですから責任重大です。仮に答えがうまく当たって「両方大事です」と言ったとしても、それは宝くじみたいな当たりですから、どのように「両方が大事」なのかは、言ってる方も聞いている方も不理解状態でしょ。ハズレよりはマシかもしれませんが、これも無責任な話です。

事実というデータはとっても大切なんです。

管理部門と現場の関係

支店担当者さんと話をしていると「本部がダメなんだよ」なんてことを聞かされます。一方、本部・本社というようなところにいる方と話をすると「支店が言うことを聞かなくて管理ばかりが大変なんだよ」みたいな話に。
まぁ、どちらかに軍配を上げるような話ではないのですが、現場と管理部門のこういう話は、けっこう多いものです。

藤沢武夫という本田技研 創業時の副社長が、かつて、国内では画期的となる商品のクレーム判定権を販売店に与える判断をしました。クレーム対応コストはメーカーが負担するわけだから、社内からは大反対の声もあったらしい。悪用されるに決まっている、というわけです。彼は「ユーザーに対して第一線を預かる販売店さんを信用することだ」といって施行し、販売店は大いにホンダを信頼した結果になりました。
また、ホンダには「現場・現実・現物」という3現主義と呼ばれる管理基準があります。管理者も現場担当者も同じ事象を見て議論し、正しい判断していこう、という思想です。

パワープランズ も本社といくつかの現場拠点、グループ会社などを有する会社になっています。顧客不在の「ダメな本部」と、信頼ならぬ本部の「言うことを聞かない支店」の関係になっていないか、いつも気になります。

追伸: 藤沢武夫 の書籍 も多いので機会があれば一読を。

社長という看板

取引先の中には、私に対して「社長、社長…」と連呼する人がいます。別に私じゃなくても「社長」という肩書きがくっ付いていれば何でもいい感じです。一方で、社内やクライアント様は「吉尾さん、吉尾さん…」と言って付き合ってくれます。これが理想だと思います。

いろんな場面で社長という人たちに会いますが、その看板だけで気持ちよくなっていて、まわりの不自然な対応にも麻痺している経営者もよく見かけます。経営権・所有権・人事権・決裁権など、ふつうでは持ち得ない力を持ってしまっているので分からなくもないのですが、正しく使えないと、働いている人たちを不幸にする一方。私欲のない公人としての高い自覚が必要だと思っています。

さてさて、4月になるとパワープランズにも新入社員が入ってきます。いつものことですが、社内では社長のことを誰も「社長」と呼んでいないので、新人は戸惑うようで、先輩に「社長のことはなんて呼べばいいのですか?」なんていう面白い質問を投げかけるそうです。

パワープランズの場合、いつのまにか「人を役職で呼ばない」雰囲気が出来たわけですが、こういうのって、押しつけや決まり事で本質部分を築けることではないので、みんなで大切にしてもらいたいものです。

300円台のラーメン

kourakuen.jpg

サイトのアップロード業務が深夜までかかり、同僚といっしょに会社の近所にある「幸楽苑」でラーメンを食べてから帰ることに。

2003年には東京証券取引所市場第一部銘柄に指定。店舗数も300店になる勢いで、主力のラーメンメニューは業界価格よりすでに3割くらいは低くなっているでしょう。

マーケティング的に見れば、強い商売をつくる為には様々な分野で多岐の鉄則や理想があるわけですが、理論では分かっていても、ホントに成功できる会社って、そう多くはありません。

「幸楽苑」という会社はすごいですね。もちろん小さいけど味と独自性で戦っているまわりの単独事業ラーメン店もすごいです。老若男女に広く愛される身近な食べ物の商売だけに、この業界の戦略や動向を見ていると、仕事の参考になることがとても多いです。

企画書のススメ

050317.jpg

社外にしても社内にしても、壁にぶつかりかけると「理想と現実はちがう」という意味合いのことを言う人がいるけど、仮に情緒的な発言であったとしても、「いい線いってるなぁ」と思って聞いています。
「理想と現実はちがう」ということは、少なくとも今よりは高い理想を持っているわけなので、いい線(線=スタートライン)なわけです。これを、重い不動の現実と受け止めて諦めたりするから、もったいないんです。やってみなければ分からないのにね。
なんでもかんでもとにかく「理想と現実の違い」を感じたら「企画書」にしてみるといいです。自分の今の思考が整理でき、足りない要素も見えてきます。
これができるようになると、その人にとっての「いい線」になります。わざわざ企画書に、と思うかもしれませんが、勘違いや思い込みにも気が付けるかも。
この分岐点を誤って捉え、ただの文句で終わる人(正当化する人よりはマシですが)もいますが、もったいないです。せっかく「いい線」にいるのに。

砂上の楼閣

memo.jpg

制作会社が提供するホームページ商品や印刷物。
これらのエンドユーザーやマーケットにおいての使われ方や効果を考えるとき、やはり制作者サイドには、広告媒体としての捉え方や要件設定の技術・ノウハウが伴っていないと、出来上がりは、自己満足の固まりのような商品になり、たいていの場合は使い物になりません。
「砂上の楼閣」とは正にうまい表現で、どんな土台の上に家を建てるのか、みたいな観点で、設計方針や企画の在り方の上に立った、デザイン力・アイデア・制作技術などの発揮が必要です。
年間50人近くの中途採用希望者さんと逢いますが、建物の話はできても、土台の話ができるクリエイターって、ほんとに少ない。土台から設計できるクリエイターとの差はどんどん離れていくのに、「建物が語れればいい」と決めつけ「センス」がカバーできると言い切るヒトも多い。
現実逃避であり怠慢だとしか思えない今日このごろ。。。
【パワープランズ・吉尾徹】